世界のパンの歴史 3 酵母の発見
ルネサンス時代 (1300~1700年頃)
ルネサンス(復興、再生)時代は、諸説ありますが、ローマ帝国の衰弱とともに暗黒時代からルネサンスに入っていきました。最初は、イタリアから文化、経済、科学の新しい時代が始まったと言われています。14世紀以降のルネッサンス時代、ヨーロッパには、文芸復興と呼ばれるほどに多くの学問と芸術が起こり、食文化も一気に成長しました。特に製パン技術の優れていたイタリアの技術は、王族の結婚に伴い、その技術が周辺国にもたらされました。当時は、結婚とともにお気に入りのパンやお菓子の職人も一緒連れていき生まれ育った国と変わらぬ食生活もしていたようです。もちろん一般の人々は、見る事も知る事もない世界でした。一方古代ローマからイギリスに伝わり良質のパン作っていたイギリスの技術は、新大陸に伝えられました。その他、国ごとに特徴のあるパン文化が花開きました。ヨーロッパのパン系統はこのころに確立されました。ドイツ、東欧、北欧などの寒い地域では、小麦が育ちにくいのでライ麦から主にパンが作られていました。
全ヨーロッパにパンが普及した15世紀以降も、製パン技術は依然としてパン職人の親方たちに独占されており、発酵の原理も謎のままでした。当時の一般的な製法は、ビールの醸造時に生じる沈殿物をパン種として生地に混ぜ込むというものものでした。なぜパン種でパンがふくらむのかは、わかっていませんでした。
皆さんもよく知っているレオナルドダビンチは、15世紀に活躍した人物です。
酵母の存在が明らかに
パン種の正体が明らかにされたのは、17世紀も後半の1683年のこと。顕微鏡を発明したオランダのレーウェンフックが、顕微鏡を使って、ミクロの生命体、「酵母(イースト)」の存在を確認、同時に、酵母の分離培養にも成功しました。
レーウェンフックの単式顕微鏡 福島県教育センター