4. パンやお菓子の基本材料について 水
水は、パンや菓子を作るのに無くては成らない材料です。小麦粉が水分を吸収することで様々な機能をはたします。
●生地の固さ調節をする。 ●生地の温度調整(捏ねる時)の助けをする
●粉の加水分解をする。 ●生地中に塩等の材料を分散させる。
●グルテンタンパクと結合しグルテンを形成する。
水の硬度こうど
水の硬度は、水中のカルシウム及びマグネシウムイオン量を、これに対応する炭酸カルシウムのP P M(mg/l)に換算して表わしたものです。この鉱物質の量が、製パン性に影響します。 (軟水よりも硬水の方が良いパンができる)
工業製パンでは、水の硬度調整にイーストフードが用いられます。
硬度=(カルシウム量mg/l×2.5)+(マグネシウム量mg/l×4)
1) 軟水 ~120mg/l
少ないものをさし、蒸留水は0mg/lです。 軟水は生地の醗酵が早めとなり、生地はベタついたようになり膨らみが悪くなります。
2) 硬水 120mg/l以上
鉱物質の溶けている量が多いもので、120~180mg/lが良い製パン製を示し、生地のガス保持性、ガスの発生(醗酵)が良好となり、良いパンができるとされています。同じ場所の水でしたら、川や湖より井戸水、わき水のほうが鉱物質を含んでいます。
日本は山地が急で平野が狭く、高地から低地への水の流れが速く、短時間で海に流れ込みます。地層中のミネラルを吸収する時間が短いうえ、火山地帯でミネラル分の少ない地層が多く、地中の鉱物成分があまり溶け込みません。そのため、ミネラル分の少ない軟水となります。
ヨーロッパは平坦な大地が広がり地中滞在時間が長く、ミネラル分の多い石灰岩の地層が多いので、ミネラルを含んだ硬水が多くなります。
水の分類
採水する場所によって水が分けられます。
海水 — 海
地下水 — 井戸、わき水、温泉、間欠泉
地表水 — 雨、雪、川、湖
水のPH(水素イオン濃度指数)
パンを作る上で、PHは重要な要素であり、水は少し酸性側(pH5.5~ 5.2)が良い結果になります。(蒸留水pH7)
アルカリ水 PH7より高い
アルカリ性の水の場合は、グルテンの酸化と醗酵が遅くなる傾向にあり酸化剤として酢、バターミルク、乳酸等が使われます。
酸性水 PH7より低い
酸性の水の場合、グルテンの酸化、生地の醗酵が早くなり、又、グルテンが弱くなるため生地が、切れやすくなる傾向がありこれを防ぐために還元剤が用いられます。