10. パンやお菓子の基本材料について たまご
卵の効果
o 栄養価の向上
パン、お菓子全般
o 内層と外層に食欲をそそる色を与える。
糖質と熱により褐色の物質になる。パン、お菓子全般
o 乳化作用がある(卵黄の中のレシチン)
例;マヨネーズ、ケーキ生地など
o 起泡性を利用して膨張剤として用いられる。
例;メレンゲ(卵白)、スポンジケーキ(卵黄)など
o 熱で固まる性質がある。
焼き菓子、蒸し菓子全般
o 香り、クラム組織、食べ口の向上
クラム(パンの中身)を細かくする
o 他の材料と一緒にそれらを結ぶ役割をする。
たまごの構造
卵の重さにより多少違いますがその構成割合は、卵白(57.0~63.4%)、卵黄(28.0~30.6%)、卵殻(8.1~12.4%)と言われています。一般的には、卵白60%、卵黄30%、卵殻10%が目安です。100gの卵だったら白身が60g、黄身が30g、カラが10gが目安になります。
白身と黄身について
卵黄
卵黄は、固形分の2/3が脂質、たんぱく質が1/3と栄養の宝庫です。非常に小さな脂質の粒が水分の中にぎっしり分散しています。分離することがないのは、レシチンが脂質を包み水と結び付けているからです。この乳化作用によりバターケーキのようにたっぷり油脂が入った生地も分離を抑えることができます。
卵白
卵白は、88%が水分、たんぱく質10.4%、糖質1%です。
菓子を作るのに最も重要な卵白の起泡力は、二つの特性によります。卵白の表面張力は、弱く泡を作ることができます。さらに卵白のたんぱく質の一部は、空気に触れると固まる性質を持っていてこれにより泡が消えにくいのです。それらにより、ホイップすることで卵白は、固くしっかりとした泡になります。
卵白には、濃い部分と薄い部分があり濃厚卵白と水様卵白に分けられます。濃厚卵白の方は、徐々に水様卵白に変質します。濃厚卵白の方がしっかりとして決めの細かい泡ができることから、新しい卵の方が菓子作りに適しています。
卵白の起泡性に影響する材料
卵白を泡立てる(起泡)時に邪魔をする材料や良くする材料があります。組み合わせや入れる手順を間違えると上手く泡立ちません。
たまごの種類
日本では、卵に規格があり次のように分けられています。
流通している卵には、
a, 新鮮卵
卵は、産卵直後から微生物の繁殖が初まっており、からを通って中に入り込み腐敗を引き起す原因となります。又、産卵直後のPH7.6前後から、24H後は、PH9に上昇し、多くのバクテリアの成長が遅くなります。バクテリアの繁殖と分解を防ぐために、卵は必ず冷蔵しできるだけ早く使います。
b, 冷凍卵
液状卵を凍結後-15℃前後で保管、流通されます。
冷凍卵は、卵白起泡力、気胞安定性の低下、卵黄のゲル化現象、液状部分の減少などの欠点があります。冷凍卵黄はゲル化を防ぐため食塩や砂糖を加え、冷凍全卵の場合はよく混合することで(卵白による卵黄の希釈)防止できます。起泡力の低下や気泡安定性の低下には 、乳化剤を使用すると良い効果が得られます。
解凍は、使用量だけ流水中に5~6時間つけ、溶解し、良く上下を混合してから使います。
c, 乾燥卵
液状卵を乾燥した製品で、卵白、卵黄、全卵の製品があり、その中でも卵白が最も普及しています。 貯蔵や運搬に便利ですが起泡力・乳化力がやや劣る欠点があります。
d, 濃縮卵
起泡力、乳化力を維持し、タンパクの変性が少なく、又、加糖することで保存性も向上できる。