抗体カクテル療法とは、何でしょう
抗体カクテル、抗体カクテル療法とは
一種類では、効き目が弱い抗体の製剤を他の種類の抗体製剤と合わせて使用する事で相乗効果により効き目を強くする方法です。ウイルスが増殖して深刻な状況になる前に(軽症のうち、発症から原則7日以内)この人工的に作られた抗体を点滴投与することで自身の免疫機能が抗体を作り十分に戦えるまでの時間を稼ぐために使われます。 ワクチンとの違いは、ワクチンは、体内の免疫機能を刺激してウイルスに対する抗体を作らせますが、抗体カクテル療法では、人工的に作られたウイルスに対する抗体そのものを血管に直接入れます。 抗体は血液や体液の中に存在するタンパク質なので、口から摂取するとアミノ酸変わり、筋肉の材料になるだけで役に立ちません。直接血管の中に点滴で入れる必要があります。
日本では、7月に特例承認された中外製薬のロナプリーブ(カシリビマブとイムデビマブの組み合わせ)が使用されています。トランプ大統領に使用したものと同じです。中外製薬が日本での製造販売権を持っています。
二種類の人工抗体を混ぜる理由は、効き目が向上し多少ウイルスが変異しても鍵が二種類あるので抗原にくっつきやすくなります。 ウイルスが、人細胞と結合することを防ぎます。
抗体とは、体に侵入したウイルスや細菌と戦う免疫機能の一つです。ウイルスが身体に入ると、それに対する抗体ができます。 様々なウイルスや細菌が身体には、入ってきているので、体内には1000万、1億という膨大な種類の抗体があります。人によってこの抗体の種類や強さも違います。 コロナウイルスに感染しても症状が出ない人は、すでに近い抗体を保持していた可能性があります。
人工抗体(モノクローナル抗体)の作り方
人工抗体は、1975年に骨髄腫細胞株とB細胞を融合させて、抗体を産生する、細胞(ハイブリドーマ)を作成することに成功したことから始まります。B細胞には寿命があるため、1種類のモノクローナル抗体を大量に作り出すのは困難でした。このハイブリドーマの作製技術は、細胞融合法と呼ばれ、抗体を作り出すB細胞と、無限に増え続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)を融合して細胞(ハイブリドーマ)を作る方法です。この細胞を培養、増殖、抗体を抽出することで大量のモノクローナル抗体を生産することができます。
不活性化処理したウイルスをマウスに打ち、抗体を生み出すB細胞を取り出し、ウイルスに反応する抗体を探します。遺伝子工学の技術で9割以上を人の遺伝子情報に変えれば、安全に人に投与できる抗体になります。これを「ヒト化抗体」といい、カクテル療法でも用いられています。その他に、感染した患者やワクチンを接種した人から直接B細胞を持ってくる「ヒト抗体」もあります。
現在、特定したがんの抗原だけに反応するモノクロール抗体を作れれば、体全体に影響を与えずにがんを治療する事が出来るだろうと研究が進められています。
抗体医薬品
かつては治らないと思われてきた関節リウマチや悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬が出ています。がん、アトピー性皮膚炎、片頭痛、アルツハイマー病などでも開発が進んでいます。
NHKのガッテンで知りましたが、関節リウマチは、免疫細胞が関節内の敵ではない”はぐれタンパク質”を攻撃することから始まり、そして免疫細胞が破骨細胞に変化し自分の骨を破壊していくという免疫機能の暴走でおきる病だそうです。30~40台の女性に発症が多いそうです。この暴走を抑えるために抗体薬品が開発されているそうです。お年寄りの病気と思っていましたが、日本には、推定60~100万人もいるそうです。現在は、くすりのおかげで進行が改善したり痛みがなくなっている人が大勢いるそうです。この薬の合わない人、効かない人もおりさらなる開発が待たれています。
抗体カクテル療法は、安全なの ?
体の中に今までにないものが入るので当然なんらかの反応が起きます。アレルギー反応に似た症状が出ます。発熱、筋肉痛、かゆみ、不整脈、など様々あるようです。 これは、ワクチンで抗体を体内で作る代わりに人工抗体を入れるので同じような症状が出てしまいます。どんな薬でも何らかの副反応が起きるので動物実験から治験と様々な段階で確認作業が行われていますが、人によって体の条件がバラバラなので販売され使用スケールが拡大すると、発見できなかった副反応が起きることがあります。まあ、市販薬でも副反応はありますから過敏に反応する必要は、ありません。ほとんどの人には、安全です。ご自身でメリットとリスクをよく確認して治療を受けてください。