低糖質パンってなに
低糖質パン?
低糖質パンって何だろう? 皆さんの中には、低糖質パンという言葉を、耳にしたり食べたりしたことがある方も多いと思います。 何となく健康に、ダイエットに良いイメージですよね。ここ数年、注目されています。 その中身については、よく知らない方も多いと思いますので、その違いや材料などを説明したいと思います。 これらは、パンやお菓子の主要材料である小麦粉と大きく関係しています。
糖質は、悪物?
最近では、すっかり糖質が悪物扱いされていますね。でも本当は、体に必要不可欠な物ですよ。糖質がないと頭も栄養不足で働きません。エネルギーも不足してしまいます。ただ、摂りすぎると健康に悪い影響が出てきます。まず思い浮かぶのが、カロリーと糖尿病の二つではないでしょうか?
糖尿病は、命にも関わる病気なので食事が制限されます。糖質は、血糖値(血液中のブドウ糖量)の上昇を引き起こすために量を減らすことが必要になります。
ダイエット面では、肥満の基本的な原因は、必要カロリー以上を食べてしまうことです。しかし、食べる量でのカロリーコントロールはかなり難しいですよね。 そこで、しっかり食べてもエネルギーに成りにくい商品を求める人がたくさんいます。糖質の少ない食事は、血糖値の上昇を抑えることができるので体に優しい食事とも言えます。
パンには、糖そのものと、食べると糖に変わる物質が含まれています。 糖は、砂糖などの甘味料、糖に変わる物質は、小麦粉などのデンプン類が主な糖質にあたります。 主に、この二つの原料を他の物に置き換えて作られているのが低糖質パンです。
砂糖の代わりは
砂糖の代替材料としては、エリスリトール(蔗糖の0.6~0.8倍の甘さ)、ラカンエキス、ステビアなどの天然由来の成分とアスパルテーム(100~200倍の甘さ、アスパラギン酸とフェニルアラニンという2つの天然アミノ酸が結合したもの)、スクラロース(600倍、蔗糖をもとにした有機塩素化合物)、アセスルファムカリウム(130~200倍、環状のスルファミン酸誘導体系の甘味料)などの人口甘味料があります。 これらの中でエリスリトールが最も良く代替材料として使われています。 うーん、こんな名前を聞くと少し引いてしまう人は多いですよね。
安全なの
エリスリトールは、天然の糖アルコールでブドウ糖を醗酵して作られます。 摂取後は、体からほとんどが排出される天然にあるゼロカロリー甘味料なので人体に悪影響は、ありませんと言われています。 しかし、糖質ではない人口甘味料に対してすい臓は、インスリンを分泌しないはずなのにすい臓が砂糖と同じように反応してインスリンを分泌することがあるそうです。 これが、続くとエネルギーが無いのですい臓の疲労をまねき、本当の糖質に対して分泌がうまくできない症状を引き起こす可能性があるとも言われています。
インスリンの働きは、臓器に血糖の取り込みを助ける、タンパク質の合成や細胞の増殖を促すなどにより血糖を処理します。 すい臓から出るインスリンが少なくなったり働きが悪なったりする状態が、糖尿病です。 それを考えると本当に大丈夫なのか、心配になりますね。
小麦の代わりは
小麦粉の代替材料は、あまり種類がありません。 よく使われているのが、小麦ふすま、大豆などデンプンの少ない材料です。 パンの膨らみを得るために最も重要なグルテンタンパクが、材料に含まれていないので小麦グルテンが添加されるのが一般的です。 その他には、増粘多糖類が粘りなどを付けるために使われています。
市販品で使われているのは
それでは、実際にどんな材料が使われているのか市販されているパンの包装に表示されている内容について解説します。
名称:ブランパン (ふすまパン)
ブランパン1個当たり
熱量:64kcal たんぱく質:6.6g 脂質:1.9g 糖質:2.3g*
食物繊維:5.4g ナトリウム:91mg(食塩相当量0.2g)
*栄養成分での糖質とは = 炭水化物 – 食物繊維
この製品では、糖質:2.3g =炭水化物 – 食物繊維:5.4gとなります。 炭水化物は、7.7gですね。
原材料名:ミックス粉(植物性たん白、大豆粉、オーツブラン、難消化性デキストリン、米ぬか、ぶどう糖、シトラスファイバー、エリスリトール)、卵、植物油脂、調整豆乳、エリスリトール、パン酵母、小麦粉、砂糖、食塩、発酵風味料、乳等を主要原料とする食品、加工デンプン、セルロース、糊料(増粘多糖類)、酢酸Na
内容量:2個
製造者:Y社
栄養成分で大豆粉と小麦粉を比較すると以下のようになります。
大豆粉
100gあたり
エネルギー440kcalたんぱく質41.6g脂質16.5g
炭水化物33.0g*糖質19.3g食物繊維13.7g
大豆粉は、炭水化物が小麦粉の半分さらに食物繊維が多いので糖質は、1/3以下になります。
強力粉
100gあたり
エネルギー366kcalたんぱく質11.7g脂質1.8g
炭水化物71.6g*糖質68.9g食物繊維2.7g–炭水化物に含む
難消化性デキストリン — コーンやポテトから作られる水溶性食物繊維
シトラスファイバー –オレンジなど柑橘類の皮から取れ、不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維を半分ずつ含む寒天のような性質で、約10倍の水を吸収して膨らむので、パン生地などに加えるとやわらかくフワッとした食感を持続することができる。
セルロース — 不溶性食物繊維で加工時に粘り気を与え、成形しやすくするための増粘安定剤として使われています。
増粘多糖類 –高い粘性をもつ水溶性の多糖類で、微妙な食感(歯ごたえ、舌ざわり、のどごし等)を調節したり“とろみ”を付けたりする。 ペクチン、カラギナン、ガラクトマンナン類、メチルセルロースなど
酢酸Na –酢酸ナトリウム日持ち向上の目的では、練製品や包装したもち、パンなどに使用されており、物質名で「酢酸Na」などと表示される
注意することは
低糖質パンは、糖質制限をされている人にとっては、パンを食べる楽しみを与えられます。 カロリー制限したい人には、罪悪感無くパンを食べられます。半面、健康な人にとっては、あまりメリットのない商品ともいえます。 また、普通のパンに入っていない添加物を色々食べることにもなります。
小麦ふすまは、食物繊維が豊富なので腸に良く便秘の改善につながるとのイメージを持っている人もまだいます。 しかし、ふすまが、便秘の改善に効果の無いことは、研究報告で明らかになっています。 水溶性食物繊維との併用が必要です。
低糖質という表示に規則はありませんのであとは、パッケージの表示を見て内容を確認してから必要かどうか自分で判断して購入しましょう。ほとんどの低糖質パンや米粉パンなどには、小麦グルテンを添加しています。低糖質パン=グルテンフリーパンでは無いので、小麦アレルギーの方はグルテンフリーと明記されていない商品は食べないようにしてください。