5. パンやお菓子の基本材料について 塩
塩の役割
塩は、しょっぱい、塩からいなどと表現されるようにその量は、味に直結しますよね、しかし、塩には、単に味を付けるだけでなく以下のような作用があります。
- 他の材料の味を高める
- 香りと味をつける
- 生地の結合を強める
- 醗酵阻害物質の抑制、 酵素作用の調整
- 雑菌繁殖の防止
効果
生地中の酵素の作用を抑制し、残留糖を増加させると同時にプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)にも働き生地の抗張力、伸展性を増しガス保持力を向上させます。— 膨らむ力を強化する
さらに雑菌などの繁殖を防ぎ長時間醗酵する場合には異常醗酵を防ぎます。又小麦粉中には、パン酵母の作用をジャマする徴量物質(抗酵母タンパク質Purothionin)が存在しますが食塩は、この醗酵阻害物質を抑制します。
使用量
パンの場合は、1.0~2%が一般に使われる量で量が増加すると醗酵時間も増加します。これは塩を多く入れることで酵母細胞回りの水の侵透圧の影響で酵母の中の水分が細胞外に吸い出されるような形になり、そのためイーストの活動がにぶり醗酵時間の増加につながります。濃度を同じくしようとする作用です。
お菓子の場合は、発酵しないのが基本なので使用量の自由度が高いです。
塩と健康
皆さんも知っているように塩分量が多いと高血圧の大きな原因になると言われており、イギリスでは国が85品目の食品の塩分量をさげる目標値を定め製造業者と協力して分からない程度に使用量を減らし消費者がその量に慣れた頃にまた量を減らすということを繰り返すことで数年かけて塩分量をさげることに成功しました。イギリス国民は、パンからが最も塩の摂取量が多かったそうでするの塩分摂取量の18%を占めていてそうで国や製パン会社が協力してパンの塩分量を下げました。2006年から8年間で減塩を進め1人当たりの1日の塩分摂取量は1g以上減少し、その結果、虚血性心疾患や脳卒中の患者4割も減少したそうです。塩分の多い食品が、日本でもあふれていますから摂りすぎないように注意しましょう。